『J-KIDS大賞2005小学校ホームページ・サミット』リポート

講演5「ホームページ制作におけるディレクションについて」
上田 壮一 氏(クリエイティブ・ディレクター/株式会社スペースポート)



当日の様子「『ディレクション』とは、プロジェクトの全体像を把握つつ、みんなで話し合ったり、各分野の専門家であるメンバーに方向性やディテールを伝えたりしながら、出来上がりイメージに近づけていくことです」
上田さんは、そう説明します。
「何かを始めるときに人が集まると、『どんなものをつくるか?』『どういうふうにつくるか?』から始めがちですよね。でも、最も大切なことは、『なぜつくるのか?』です。『Why(なぜ)』が決まると、『What(何を)』や『How(どうやって)』が、どんどん出てきます。また、それぞれの役割分担もはっきりして、みんなが自律的に動けるようになります」
だから、企画段階に時間をかけてしっかり話し合うと、その分、ディレクターも楽になるんですよね。
そう少し声を潜めて笑う上田さんは、まるで秘密を打ち明ける少年のようです。

「なぜ」が決まると、次は「どんなホームページを作るのか?」というイメージを考えます。メンバーにイメージを伝える方法として、上田さんはよく絵本を使うそうです。
「絵本って、ホームページに似ていませんか? 表紙があって、何だろう、とページをめくる=ボタンを押すと、次の画面が現れて、話が展開する。全体の印象、雰囲気、色使い、さらにページをめくったときの『うわあ』という驚きや感激、といった『感覚』を、絵本を使って伝えることができるんです」
この方法を使えば、子どもたちを巻き込むこともできるかもしれませんよね?、という上田さんの言葉に、先生方はすかさずメモを取ります。

では、映像やWebプロジェクトのディレクターとして10年以上活躍されている上田さんが、実際にインターネットを使ったプロジェクトを進める上で意識されているのは、一体どんなことなのでしょう?
「それは、『つながり感』『ひとの気配』『情報受信(情報発信だけでなく)』『ライブ感』の4つです」と上田さん。
そして、上田さんが今までに手がけられた数々のプロジェクトの中から、「オルカライブ」「先見日記」を紹介。実際に見てみながら、前述の4つのキーワードが具体的にどのような形で実現されているか、解説されました。
「『なぜホームページを作るのか?』という目的はまったく違うけれど、ちゃんと4つのキーワードに当てはまることがおわかりいただけるかと思います。ホームページの向こうに、作っている誰かがいる。同じページを見ている誰かがいる。そのリアルにつながっている感じをどのように表現するか、を常に意識しています」

「お金がなくても、技術がなくても、工夫次第で面白いHPはいくらでもつくれます。そのためにも、『なぜ?』を常にみんなに問い続け、考えてもらうことが必要であり、その役割を担うのがディレクターなのです」
親しみやすい雰囲気と巧みな話術で、プロのノウハウを惜しみなくお話しくださった上田さんに、先生方だけでなく事務局からも「聞いてよかった!」と感激する声が多々聞こえてきました。

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主催: J-KIDS大賞実行委員会