第10回全日本小学校ホームぺージ大賞 みんなの毎日は宝物! J-KIDS大賞2012

子ども×小学校×地域 〜理想の小学校ホームページとは〜

『理想の小学校ホームページとは何か?』
豊福晋平実行委員に「ホームページづくりで重要なポイント」を伺いました。
また、昨年度J-KIDS大賞を受賞された尾道市立土堂小学校の皆さんの、普段の取組みの様子も取材してきましたので、ご覧ください。

J-KIDS大賞の考える「理想の小学校ホームページに必要なポイント」

1. 基本的な学校情報をホームページ上で公開すること

「学校情報」とは、学校の経営情報や評価情報、教育計画など、学校運営に関する基本的な情報のことです。これらをホームページ上で開示して、学校を「見える化」することはとても重要です。

豊福実行委員

第一に保護者が必要としている情報を載せることが大切です。さらに、実際に関わっている保護者だけではなく、ホームページを見ているすべての人を意識して情報を開示しましょう。ホームページが学校の信頼感につながっています。

土堂小学校インタビュー

ホームページには「情報公開」という項目があり、そこには各学年の「授業時数進行管理表」や「体力つくり改善計画」などを過去数年分掲載しています。また、毎年行われる「研究発表会」に関しても、目立つ位置で告知し、積極的に学校情報を公開しています。

学校には、子どもたちが毎日活動している、ありのままの良さがあります。その良さをありのまま届けることができれば、それは確実に信頼になり、協力や恊働を得られるようになります。

2. 多様な視点で立体的な学校の姿を描こう

学校からリアルタイムに情報を発信できることは、ホームページの大きな魅力のひとつです。現在では、発信の手段として高頻度での発信が可能なブログを取り入れる学校も増えてきました。先生や児童、地域の方など、いろいろな人の目線で情報を発信することがとても重要です。

豊福実行委員

いろいろな人が発信することで、読者も多様な目線から学校を見ることができ、それだけでホームページが豊かになっていきます。
多様な書き手でホームページを作るには、まず、管理職が自発的に動くことが大切です。次に複数の先生に声をかけてみましょう。それができれば、子どもたちや保護者・地域の方にも関わってもらいましょう。

土堂小学校インタビュー

地域との豊かな関係性は土堂小学校の大きな特徴です。土堂小学校には「土堂っ子太鼓」という、先輩から後輩へ代々受け継がれている太鼓の伝承があります。日頃から学習の場として、地域にたくさんあるお寺やお店、施設を積極的に訪問している他、地域の様々な行事で「土堂っ子太鼓」の演奏をしています。このような子どもたちと地域の深い関わりは、ホームページをつくる以前からずっと続いてきたもの。そのつながりが学校運営を支え、ホームページにも表れ、学校の魅力にもつながるのだと考えています。

『育友会ブログ』は、保護者の方からの申し出によって、立ち上がりました。保護者の方は非常に協力的で、子どもたちの写真掲載に関しても「もっとはっきり様子が分かるようなものを載せてほしい」と、積極的な情報公開を快諾してくださいました。

先生たちもがんばっています。社会見学や修学旅行のときは、一斉にたくさんの先生が更新をしてくれます。ブログを書くことに抵抗感を感じていた先生も、一度書いてみると「意外と簡単だった」と気づくことが多いです。

3. 子どもの参加でより小学校らしい魅力あるホームページに

子どもたちがホームページ制作に携わる学校も増えてきました。書き手として児童が参加することには大きな意味があります。

豊福実行委員

子どもが記事を書くことによって、保護者の共感と理解を得られます。
多くの学校は委員会活動の中でブログを更新しています。それは子どもたちにとって立派なお仕事です。フォーマルな場所に作法を守って書くことが求められ、その責任は重大です。その責任感でがんばった子どもたちは、作文能力も向上するのです。

土堂小学校インタビュー

16人の報道委員会の児童がブログ『土堂っ子日記』を書いています。更新頻度は週2回以上。授業の出来事や学校行事の様子、給食の風景など、自分たちで撮影したたくさんの写真とともに、子どもたちが目で見て、素直に感じたことが日々綴られています。

「週2回以上」というブログの更新頻度は、報道委員会の全員で決めました。記事は必ず4人の先生がチェックし、ときには記事が載らないこともあります。これによって子どもたちは「ブログを書くことは学校の情報を発信する大事な仕事だ」と意識するようになります。

記事が一定の本数を超えた児童は「ブログマスター」と認定し、認定証カードをプレゼントすることで、積極的に参加したくなるよう工夫しています。児童のやる気も格段にアップし、報道委員会のメンバーは義務感ではなく、楽しみながら活動を続けています。

報道委員会以外の児童も関われるものとして、自分が親切にしてもらったり、やさしくしてもらったりしたことを、1年生から6年生まで、だれでも手軽に書くことができるブログ形式の『やさしさ貯金箱』があります。ブログに書かれた記事は校内にも掲示し、他の友達にも読まれているということを強く意識させています。また、記事を1つ書くとマスを1つ塗れるスゴロクを掲載した「やさしさ貯金カード」を発行して、自分が書いた記事の数を確認できるようにし、児童のモチベーションアップにつなげています。

報道委員会のみんなに突撃インタビュー!

どんな記事を書く事が多いですか?

がんばってること、行事、太鼓の練習、クラブ、日常生活の出来事などです。

記事にする時、こだわりや気をつけていることはありますか?

僕は、文のはじめのところに注意しています。いつも「こんにちは、○○です。」と書くと普通の人みたいなので、僕の場合、自分の中で「瀬戸丸」というキャラクターをつくって「瀬戸丸でございます」と書き始めています。

早くブログを書けるコツを教えて下さい。

最初は短くてもいいから、たくさん書きます。それから思いついたことをしっかり書くことです。

他の小学校のブログや自分の学校の友達のブログを見て、「こういう書き方いいな」と思ったら真似したりします。

写真をうまく撮るために工夫していることはありますか?

撮るときにぶれないように、あまり動かさず、その人に集中して撮っています。

給食のときは、食べているところや笑っているところを撮ったりするけど、委員会のときは、真剣にやっているところを撮ったりします。そこでいい写真が撮れたら、次に笑っているところを撮ったりします。

今まで委員会活動やっていて良かった、と思ったのはどういう時ですか?

ブログマスターをもらったときにうれしかったです。

僕は時々、過去のブログを見て、コメントとかで元気をもらって、これからもがんばろうと思ったりします。

これからどんな記事を書きたいですか?

交流のある東北の小学校のみんなが笑ってくれたり、「いいな」と感じてくれるブログを書きたいです。

私は、読んでいて心がほっこりするような、見ていて楽しめて、こんなことしてるんだな、と楽しくなるようなことを書きたいです。例えば「こんなことをしてお母さんに優しくしたよ」や「こんなこと手伝いました」とかです。

編集後記

数々の映画の舞台として有名な尾道市にある土堂小学校。校舎もレトロな雰囲気で趣があり、元気に挨拶してくれる子どもたちが印象的でした。土堂小学校は創立されて100年以上の歴史を持ち、児童や先生はもちろん、保護者や地域の方など、多くの人が関わっている様子が見られます。そのつながりは「土堂っ子太鼓」の歴史や育友会ブログを見ればわかります。また、ブログマスター認定証や更新状況をグラフで見える化するなど、様々な工夫をして子どもたちが楽しくホームページ作りに参加しています。そうした工夫の数々が、子どもたちのいきいきとした学校生活の様子を伝えるものになっています。これからも地域と一体になって、魅力的なホームページを作り続けてほしいと思います。

取材協力

尾道市立土堂小学校(2011年度J-KIDS大賞受賞校)

田坂裕一校長

貝川充洋講師

児童の皆さん

http://www.onomichi.ed.jp/tsuchido-e/

豊福 晋平実行委員

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授・主幹研究員
専門領域は学校教育心理学・教育工学・学校経営。近年のテーマは教育情報化。
全国の学校ホームページ活性度が参照出来るi-learn.jpを1995年より運用。2003年より全日本小学校ホームページ大賞(J-KIDS大賞)実行委員

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