第8回全日本小学校ホームぺージ大賞 みんなで応援しよう! J-KIDS大賞2010
受賞校インタビュー

J-KIDS大賞 2010年度 受賞校インタビュー 城南小学校

文部科学大臣賞鹿児島県 鹿児島市立城南小学校

城南小学校:沖田浩校長、牧健一教諭、児童
取材:実行委員 豊福晋平、J-KIDS大賞実行委員会事務局

城南小学校は鹿児島市内の中心にありながら、雄大な桜島を仰ぎ見ることができるのびのびとした環境の学校です。ホームページには、文章や写真だけでなく、動画や音声、電子地図、電子黒板、クイズなど、ITを使った楽しく多様なコンテンツが満載。地域との交流が希薄な時期もあったそうですが、ホームページが充実していくに従って、地域との連携も密になったそうです。学校としてどんな方針を持たれているのか、またどんな風に指導されているのかをうかがいました。

学校の視点沖田浩校長

どんなホームページにしていくか、
コンセプトを立て、示していくことが大切

私は昨年、城南小に赴任してきたばかりですが、文部科学大臣賞という素晴らしい賞をいただきとても嬉しく感じています。地域のみなさんからも「城南小が賞をもらったというから、見てみました!」という声をたくさんいただきました。また、今年に入ってからは九州ウェブサイト大賞2010(総務省九州総合通信局などによる主催)で最優秀賞にも選ばれ、多くの方に城南小に注目をいただきました。日頃の地道な作業がこうしてよい結果を生んだことで子どもたちは自信をもったようですし、受賞によって地域との一体感もさらに強まったように感じます。

城南小は市街地の学校であるにも関わらず地域密着型で、何かお願いごとをしても、とても協力的にやっていただけます。昭和5年創立という歴史のある学校ということもあり、地域に非常に愛されているというのが第一印象でした。また、地域の方も保護者の方も顔見知りが多く、アットホームな雰囲気です。それからボランティア活動も大変盛んです。子どもたちが朝学校に来ると、しばらくはよく遊んでいますけれども、8時になったら一斉に掃除を始めます。よい習慣が身についています。

学校経営については、私なりにどういう学校にしていこうかといろいろ考えまして、それをわかりやすく伝えるためにグランドデザインを作成しました。3年計画を立てたのですが、「あいさつ」「読書」「あせ」の3本柱としました。汗というのは、体を動かす汗ということです。今年は、特にあいさつには力を入れておりまして、立ちどまって元気なあいさつをすることを指導しています。これは地域の方や保護者の方からも「非常にあいさつがよくなったね」と評価をいただいています。こうした生で触れ合う交流と、ホームページという情報発信の両方を一緒に進めていくことが大切だと感じています。

ホームページについては、技術に精通している牧先生にリードしていただいています。牧先生が赴任してこられてから2007年にはJ-KIDS大賞のデジタルイメージ賞、2009年にはベスト8選出と、着実に発展していました。私が赴任してきてびっくりしたのは、宿泊学習のときに現地の様子をリアルタイムで発信し、それを見た保護者がメールですぐに感想を返しておられたことです。小学校のホームページがライブ感覚で動いていることにとても驚きました。

ホームページは広く一般にも公開されているものですが、思いがけない波及効果もありました。学校周辺に新しいマンションができて販売をされることがあるのですが、買い手の方は学区の様子についてとても関心を持たれるそうなんです。それでマンションのディベロッパーの方がうちのホームページへリンクしたいと問い合わせてこられたことがありました。学校としても、少しでも児童数が増えればうれしいので許可していますが、こういう使われ方もあるんだなと思いました。

今は、技術とソフトの両方に長けておられる牧先生が軸になっているので発展的に進んでいますが、たとえば牧先生が異動されて、ホームページの制作に明るくない職員ばかりになったときにどうするかについては大きな課題です。場合によっては最低ラインの情報発信に切りかえる方向修正も必要になってくると思いますが、せっかく牧先生がここまで作り上げてきたものを、衰退させるのはもったいないですよね。考えられるステップとしては、ホームページの作成に当たって、企画や立案の部分から保護者や地域の方に入っていただく組織づくりもあるかなと感じています。

それから、皆さんに真の意味で城南小のホームページに関心を持ってもらうためには、基本的なスタンスや今後は何を目指していくのかなどをきちんと示さなければいけないと思っています。このあたりは牧先生を中心にして、情報管理のあり方、ホームページのあり方などについて、少しずつ話し合いの場を持とうと進めています。

牧先生には、今後、県内のいろいろな学校で立派なホームページを作り、ホームページの有効性を伝えていっていただきたいと思っています。城南小もそうですが、牧先生のまいた種をしっかり受け継ぎ、ホームページを最大限に活用する学校がどんどん増えていくことを期待します。

現場から牧健一先生

記事を書くということは、自分の価値に気付くこと

牧先生はホームページの技術面で高いスキルをお持ちですが、発信する情報の立案、つまりコンテンツ制作においても優れておられます。学校から情報を発信していく上で、一番大事にされていることを教えてください。

牧先生子どもから情報発信する、ということでしょうかね。私が子どもにブログを書かせているのは、単に国語の文章力をアップさせたいからではないんです。情報というものは、人が知らない内容ほど楽しいものです。読む人はどんな人で、なにを発信したら面白く読んでくれるのか?など、読む人の立場を考えて情報を発信するということは、「自分の持っている情報の価値に気づく」という作業です。それが情報社会に参画する態度の育成だと思っています。実際には週に1回の活動なので充分に指導できる時間がないのですが、私自身はとても大切なことだと思っています。

先ほど校長先生もおっしゃっていましたが、牧先生が抜けられた後にどのように質をキープしていくかは学校にとって大きな課題ですね。このあたりについてどのようにお考えでしょうか。

私自身も現在、試行錯誤中です。たとえばガイドラインのつくり方、肖像権の取り扱い、それを職員会議でどう諮って、どう共通理解していけばいいのかなどは、マニュアル化することがとても難しく、悩みどころです。職員についても、ホームページへの情報の出し方については考えがいろいろ異なります。そのあたりの基本的な考えのとりまとめと、組織にそれを伝える段取りみたいなのものができれば、そこが根っことして運営が進むのかなと今は感じています。作業の分担の仕方については、学校の組織の規模やシステムが異なるので、こちらもケースバイケースだと思います。

城南小について言えば、私が抜けた後のことを考えて、対策を練っているところです。それに当たって、CMSの導入ができないか、検討を市教委にお願いしています。あるいは、うちのコンテンツにはブログがたくさんあるので、それのRSSを組み込んで、トップ画面に表示させるような簡単な仕組みを作ろうかとも考えています。それはテクニック、仕組みみたいなものです。仕組み的なものを1個作っておけば、他の学校にも真似をしてもらえるかもしれません。ガイドラインの面と、そのシステムをどう簡略化していくかということですね。それができれば、ある程度の質をキープできると思います。

子どもたちのブログは、発信する基礎を一度きちんと作ってあげれば私がいなくなっても定着し、引き継いでいけると思います。ただ、それを支える技術やシステムは必要ですね。今の仕組みのままだと、やはり技術に詳しい人がいないと維持しにくいと思います。このあたりを学校だけでなく、いろんな立場の方を巻き込みながら、考えていくことが重要だと思っています。

どんな学校? ホームページは楽しい?児童の声

城南小学校では、情報委員会の子どもたちがホームページの制作を行っています。そして、このメンバーが校内放送も担当しています。

「ブログで、鹿児島県や鹿児島市のいろいろな情報を伝えたら、いろいろな返事がもらえてうれしかったです」

「ブログは嬉しいことのほうが書きやすい」

「ブログで鹿児島県とか地域のニュースを書いたりしています。みんなが知らない事を書いて、びっくりさせたいです」

「一番おすすめのページは、給食のページです」

「ブログで使っているニックネームは、カピバラです。カピバラがかわいいなと思ってつけました」

「中学生や大人になったら、地域の歴史や特色を生かしたホームページをつくってみたいです」

「自分の書いたブログにコメントがたくさん来るとうれしいです」

「パソコンの早打ちができるようになりたいです」

編集後記
技術とコンテンツの相乗効果

城南小のホームページは、高いスキルをもつ牧先生がいらっしゃるので、さまざまな技術が使われています。ついそれに目を奪われてしまいますが、その技術の枠のなかに、良質なコンテンツがあるからこそ、全体として魅力的なホームページになっているのだと思います。
また、校長先生がホームページを含めた全体の方針をしっかり見据え、学校全体がひとつの方向に向かっていけるようなグランドデザインを持たれていることもとても重要だと感じました。

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