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J-KIDS大賞2004 受賞校インタビュー
  優勝校 千葉県 印西市立大森小学校
大森小学校:澤田安男校長、松本博幸教諭、児童、保護者・OBの方々
インタビュアー:選考委員 豊福晋平、文:加藤久人

小学校ホームページはコミュニティーとの架け橋
千葉県県印西市大森町は、茨城県との県境である利根川の流れる静かな町。2年連続でJ-KIDS大賞の優勝に輝いた印西市立大森小学校は、その中にあって活気あふれる、町の太陽のような存在です。大森小学校のホームページが、なぜ明るく活発なのか? 保護者、教師、そして子どもたち自身の口から、その秘密を聞いてみました。

 
濃密なコミュニティーというバックグラウンド?保護者の視点から
「ここだけ空気が違うんです」。ある生徒の母親の言葉です。彼女は、この大森小学校の卒業生ではありません。数年前、初めてこの地に移転してきて、娘の入学のため学校を訪れた際に感じた、この空気の違い。近所の住人が、まだ学校に行っていない小さな子どもを連れて散歩にやってくる。先生にあいさつをする、生徒たちも当たり前の風景のように、笑顔で見送る。そんな空気が大森小学校には流れているのです。

いいところだな・・・という感動
保護者
池田さん
初めて来たときはびっくりしました。ここだけ空気が違うんですよ。長女が1年生で学校にあがるときに、同時にここに移転してきたんですけれども、そのときに、まずアパートが少ない、新興住宅地もここはあまりないんですよね。おじいちゃんおばあちゃんが近所に住んでたり、おじいちゃんの代からここにお世話になってる方も大勢いて、それが独特な空気として感じられたんです。すごくいいところだなと思いました。とにかくみなさんが学校を大事にされていて、母校として大切にしていこうという気持ちが強いのかな、と思いました。保護者の立場から見えるのは、保護者が先生を信頼している方が多いということですね。先生に対しての見方が優しい。どのような考え方でこういうことを言ってらっしゃるのか、と考えるときに、いい方に考えている。父兄がみなさん素直なんです。その背景には保護者の方の先生や学校への信頼があるのではないかと思います。それが一番この小学校の良いところだと思いました
世代間の断絶は少ない
他から転居してきて、いっぺんでファンになった池田さん。同様に、大森小学校のファンといえる人たちがたくさんいます。それが、この学校を支える卒業生たちです。
OB
遠藤さん
地域に根ざしているって普遍的な言い方だと思うんですけど、学校という言葉で一番最初に頭に浮かぶのは大森小なんですよ。風土が穏やかというのもあるんでしょうけど、人が穏やかですので、昔からのお祭とかがあっても、大人も子どもも世代間の断絶が少ないというイメージをもっています、町全体に。お祭があると、60代、70代、80代、そういった上の方まで一生懸命楽しんで、よそで働いている人も祭の日は戻ってくる。そういうコミュニティーがここにはあるんです
教育は第1にして尊重すべきこと
OB
松本さん
大森という町には、昔から教育に対する思い入れが強かった。旧大森町の庁舎はそこのすぐ角にあったんですね。その庁舎に、町是が書いてあって、つまり社是と同じように町の基本ポリシーですね、そこに「教育は第1にして尊重すべきこと」と書いてあったんですね。教育に対する取組みというか、教育を第一に尊重すべきことであると、そういった土地柄もあるんじゃないかなと思いますね
コミュニティーの中の小学校
大森小学校のページの魅力は、その情報量、バラエティーの豊かさ、速報性、生徒の手作り感、そのすべてなのですが、もっとも大きいのが子どもたちの笑顔が、あらゆるページにあふれていることでしょう。
保護者
秋田さん
大森小でおどろくのは、毎年運動会のときに、ものすごいお年をめした方たちが来賓で来てくれるんです。それも、子どもたちが全部手分けして地域のお年よりたちに招待状を手書きするんです。それで、おじいちゃんおばあちゃん来てくださいねって、運動会の招待状を手渡しするんです。そうすると、お年寄りが運動会にきてくださるんです。そういったところが本当にすごいなって思います。地域のお年よりたちは、大森小の子どもたちを本当にいつまでも、暖かく見てくださってるなって思うんですね。
濃密なコミュニティーが、小学校を支える。そして、子どもたちもそのことの大事さを理解している。大森小学校の強みは、ここに尽きるのではないでしょうか。
大森小学校のこと?教師の立場から
子どもたちに、ホームページつくりなどを指導しているのは、松本博幸先生。当初は、先生方が中心になっていたホームページつくりに、子どもたちが自主的に参加を希望したそうです。それだけ、楽しげな雰囲気を醸し出していたということかもしれません。
111年の歴史が財産
松本先生
この学校は111歳を迎える伝統のある学校なんです。ここに今通っている子どものひいおじいちゃんとか、ひいおばあちゃんも通っていた学校なので、学校と地域の結びつきは非常に強いですね。学校としても極力地域にいろんな情報を発信しながら、結びつきを深めて行きたいと思っています。
もともとホームページは持ちたいと思っていたのですが、ハード的な面で環境が整っていなくて。2001年度に印西市の方でいっせいに、コンピュータ整備をしていただいたんです。そのときに、インターネットに繋がる環境ができた。そこで、まずは学校の生の情報をなるべく詳しく伝えようということからスタートしました。何年か先には、地域から愛されるホームページを作れればいいなという思いで、ささいな情報、ちょっとした情報を日記帳にでもして、報告したいなという感じで始めました。
小学校のホームページの役割を一言でいうと、繋がりをもてるということですよね。この学校においては地域との結びつきは強いのですが、それでも、とかく希薄になりがちなので、それをうまく繋ぎとめるための一つの手段としてホームページの役割があるんじゃないかと思います。学校から情報を発信する、その情報に対して、地域がうまく学校に返せるようになれば、つながりが高まって行くと思うんです 。
大森小学校のホームページ、ここが好き!
大森小学校のホームページの大ファンは、やはり保護者やOBのみなさん。みなさんが、特に気に入っている部分をお話しいただきました。
ページの統一感
OB
遠藤さん
記事の中の文字に、いちいちリンクが張ってあって、それがすごく的確なところに飛んで行く。ですから、文字が多いわりに使いやすい、飛んだページ飛んだページみんな写真が張ってある。ずっと見てても飽きない。それから、日々更新されてる。いいとこづくしですね。校長先生のコラムがあって、これも日々更新されている。先生とか子どもとかそれぞれ活動が見えて、非の打ち所がない。また来たくなる 。
小学生のレベルを超えている
保護者
秋田さん
大森小のすごいところは、まず日々更新というところ。1年365日といえるほど。とにかくアップのスピードが早い。情報のスピード、伝達のスピード、正確さ、そういうところは小学生のレベルを超えてると思いますね。今までのパソコンの使い方と全然違う使い方を、4年生くらいからできている 。
修学旅行のリアルタイムレポート
保護者
秋田さん
去年の修学旅行では、子どもたちがカメラ付き携帯からリアルタイムでホームページに送ってきてたんですね。小学生に何で携帯をもたせるのか、という批判はあったかもしれない。しかし、リアルタイムで、例えば中禅寺湖で、これから遊覧船にのります。夕食の御膳を撮って、これから夕食です。これからお風呂に入りますとかね。刻々とリアルタイムで送ってくる。それに対して親が、おいしそうで羨ましいねとか、楽しんでおいでとか、気をつけて帰っておいでとか。こっちに残っている保護者や兄弟とのやりとりをリアルタイムでホームページ上でやってたんですね。すごく楽しい試みだと思いますくらいからできている 。
教師グループの努力に感謝
積極的な教師のグループがなければ、教育効果は上がらないと思っています。そういうスタッフが、がんばっている。感謝しています。ですから、彼らのこうしたいっていう意思を大事にしていきたいし、やはり開かれた学校をつくるためには、学校で行われることに対しての周辺住民の理解が不可欠ですね。ホームページの果たす役割って非常に大きいと思ってます。これから、どの職員が来てもそのホームページを受け継いで、その学校の良さ、子どもの良さを伝えていきたい。こうした努力は、外部で評価していただかないと分からないこともありますので、それは謙虚に受け止めてやっていく。ホームページは、情報を発信するという一つの手段でしょうけど、情報教育を謳ってるっていう事を職員がしっかり受けとめてやってくれていることを非常に嬉しく思ってます。
Dialogue with little editors
どうしてホームページつくりに参加したの?
児童  
今までにホームページをつくったことなかったので、どういう感じかなと思って。作ってみたいと思ったので、計画委員に入りました。
ホームページで大森小のことを地域のみなさんや全国の人に、よく知ってもらいたいと思って、ホームページを作る委員会に入りました。
授業でもパソコンでホームページをつくったりしたので、計画委員に入ってもやりたいなと思って、計画委員会に入りました。
地域の人々にもっと大森小のことをホームページを通して、よく知ってもらいたいと思った。自分でホームページを作成する委員会に入りました。
6年生で、最後で小学校を卒業しちゃうから、大森小のホームページを作りたいと思ったから入りました。
5年生のときに、総合の授業でパソコンをやって、今年は、計画委員でホームページ作成をやるってきいて、やりたいと思った。
先輩の計画委員の人たちが、ホームページを楽しそうに作っていたから、楽しそうだから僕もやってみようかなと思った。
見て欲しいページは?
児童  
修学旅行
子どもニュース
地震が来たときの、避難の仕方などを考えたページ。クラスのみんなに、避難の仕方など書いてもらって、あとでそれを、いいものとかまとめて。
保健のページ。地域の人たちに、健康安全に過ごしてほしいから。
ブログ。自分が書いた記事に対して、いろんな人からコメントが返ってくるから、それが面白い。
工夫しているところ
児童  
ブログのタイトルが、トップページに一番新しいのがどんどん載っているので、やっぱり題名で、いろんな人が惹きつけられるように。
子どもから大人までホームページを見られるように、ニュースとかはフリガナを振ってます。
写真の配置で、ずっと縦に小さい写真が一枚だとつまらないので、一番上に中くらいの大き目の写真を置いたり、横に3枚置いたり、写真の内容を一行ずつでも書いて、見てる人が飽きないようにしてる。
ニュースとかは、写真はそのときにならないと取れないけど、文とかは想定で書いちゃったりする。取材した後に、想定で書いたところを書き直したり。そうすると、すぐに記事がアップできる。
取材でインタビューしたりするとき、メモとかしなきゃいけないでしょ。新聞社の人が大森小の取材に来たときも、メモの取り方を教わりました。大事なことはノートの右側に書いて、簡単なことを左側にささっと書いたりとか、メモの取り方を教えてもらった。
家族や周囲の反応
児童  
お父さんが毎日、仕事場で見てるって。
お兄ちゃんに、大賞になったこといったら、お、すげーじゃんっていって100円くれた。お兄ちゃんは、うんと働いてて、受賞する前はお母さんしかホームページ見てなかったんだけど、お兄ちゃんたちも受賞したってきいてから見るようになった。
友だちに大賞取ったこといったら、おおすげーじゃんって。おめでとうって。

ホームページで変わったこと
ホームページづくりに参加したことで、子どもたちにどんな変化が現れたのでしょうか? 保護者の皆さんや先生に伺いました。
2年連続優勝の影響
松本先生
ホームページができたことによって、子どもと親と学校のつながりが高まったんじゃないかと思うんですね。ホームページがなければ実現しなかったつながりもありますし、出てこなかった会話もあるでしょう。もともと地域との結びつきが強いんで、それがさらに深まった。学校のことを、普段学校を訪れることのない方にも伝えることができたり。一番大きいのは普段足を踏み入れることのない方が、学校にまた再び返ってきてくれたのが大きいかもしれませんね。掲示板に書きこんでくれたり、メールをくれたりとか。
親子の関係の中でも、ホームページについて出てくることもあるようです。例えば、自分の子どもがこれを書いたんだと、なんとなく親はわかるようです。この子はこんなふうに考えていたんだと。ホームページを通して初めて発見したりといったこともあるようです 。
子どもに聞いても、今ブログやってるんですけど、コメントが返ってくるのがいちばんうれしいと言っています。多分、この後、2、3ヶ月後に大きな変化が生まれてくると思います。それから、今回の大賞は頂けたらいいなと思ってたんですけど、予想外だったので、子どもたちも自信は持てたのではないかと思っています。自信をもって自分たちのやってることが認められたんだ、と。
責任感が芽生えてき
保護者
秋田さん
ホームページができたことによって、子どもと親と学校のつながりが高まったんじゃないかと思うんですね。ホームページがなければ実現しなかったつながりもありますし、出てこなかった会話もあるでしょう。もともと地域との結びつきが強いんで、それがさらに深まった。学校のことを、普段学校を訪れることのない方にも伝えることができたり。一番大きいのは普段足を踏み入れることのない方が、学校にまた再び返ってきてくれたのが大きいかもしれませんね。掲示板に書きこんでくれたり、メールをくれたりとか。
親子の関係の中でも、ホームページについて出てくることもあるようです。例えば、自分の子どもがこれを書いたんだと、なんとなく親はわかるようです。この子はこんなふうに考えていたんだと。ホームページを通して初めて発見したりといったこともあるようです 。
子どもに聞いても、今ブログやってるんですけど、コメントが返ってくるのがいちばんうれしいと言っています。多分、この後、2、3ヶ月後に大きな変化が生まれてくると思います。それから、今回の大賞は頂けたらいいなと思ってたんですけど、予想外だったので、子どもたちも自信は持てたのではないかと思っています。自信をもって自分たちのやってることが認められたんだ、と。
子どもが新聞を読むようになった
保護者
池田さん
まず、新聞を読むようになりました。それから今まで使ってなかったノートパソコンが、自分の道具の一部になりました。記事を書くときには知識がないとだめですね。それから漢字がわからないといけない。読解力がなくてはいけない。文章力がなくてはならない。そうしたことすべてが、ずいぶん変わりましたね。日本一をとれたので、自信がつきましたよね。大森小に入って、6年間で良かったことは、ホームページ大賞とれたことだって、胸を張っています。とにかくそれには感謝したい 。
ネット社会のモラル教育
松本先生
情報分野でのモラル、マナーは、日常生活とかなりダブルと思うんです。ですからそこの延長で子どもたちには教えています。あとはネット社会に特有の問題です。例えば、著作権であるとか、個人情報であるとか、そういったものは時間をとって教えています。著作権でしたら、人のものは勝手に自分のものにしちゃけないよ、というところからはじまって、ホームページに友だちの写真を勝手に公開してもいいのか。ホームページでみんなの歌声を紹介したいというアイディアがでたんですけど、歌声はどうなのか。自分たちが歌うんだからいいんじゃないか。でも、人の 作った歌なんだから駄目なんじゃないか。そういった問題がありますよね。それを議論することによって指導をしています 。
大森小学校という奇跡
現在、都市部はもちろん、農村部でも多くの地域からコミュニティーのつながりが薄れているところが多くなっています。コミュニティーのつながりは、一度薄れてしまったものを、取り戻すのは簡単ではありません。しかし、人々のつながりを取り戻す作業は不可能ではありません。努力次第で、できるはずです。そのひとつのツールに、小学校のホームページは使えるのではないでしょうか? 大森小学校のみなさんに、お会いしてそんな感想を持ちました。
主催: J-KIDS大賞実行委員会