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『J-KIDS2006小学校ホームページサミット』リポート


講演4『知のポータルプロジェクト 〜こどもBOOKポータル“ほんどこ”
シスコシステムズ株式会社

 
このプロジェクトは、行政や企業の協力・協賛のもと、インターネットラーニングアカデミー(ILA)というNPO組織が運営しています。本というメディア、またインターネットというメディアの双方を「知の共有ツール」としてとらえ、そのよりよい活用のあり方を追求して、こどもBOOKポータル「ほんどこ」はスタートしました。単に書籍という知財を有効活用するだけでなく、本によって子どもたちが将来のビジョンを描けるようになること、さらに夢を叶えるための行動力を育むことを狙いとしています。「ほんどこ」サイトは、本を紹介するページと、児童が読書感想として意見を交換し、記録するブログとで構成されています。本とブログから、社会にはどんな仕事があるのか、あるいはどんな生き方、世界があるのかを知り、将来に対する動機付けを行うこと。また「20年後はこうなりたい」とそれぞれが発表して、イメージを具体化させていくというカリキュラムです。今後は、夢を実現するための情報共有の場として、世界にネットワークを広げてくことも視野に入れています。

基本的には、学校単位の取り組みであり、外部者はアクセス不可、児童・生徒、先生などそれぞれIDを持って認証されたメンバーだけが閲覧できるサイトとしています。紹介する本は図書館の本を利用することもできますが、今回は、私たち運営スタッフが新たに適切な本を選び、それらを行政や企業に寄贈していただくというかたちを採用しました。地域には、地元の学校に、インフラやコンテンツを提供するなど何か還元したいと願っている企業が多く存在しているものです。私たちは、サポートを企業・行政にお願いできる可能性は十分に高いと考えます。紹介する本は「人のためになりたい」「見たこともないものを見てみたい」など7つのカテゴリーに分け、それぞれ3冊ずつ、合計21冊用意します。1〜2週間ごとにラインナップを刷新し、総計84冊の本を紹介する仕組みです。予算は30〜40万円になるかと思いますが、長期間にわたり活用できるインフラととらえれば、安価であるとも言えるでしょう。

 
2005年に、千葉県印西市立大森小学校をモデル校に運用実験を行いました。大森小学校は学校ホームページの充実ぶりで知られておりますが、IT技術の普及やその関心が高い反面、こと読書に関しては限られた児童しか親しんでいないという現状がありました。そこで、「ほんどこ」がきっかけになればと考え、授業カリキュラムとしてご協力いただきました。モニターは、5,6年生の4クラス、100人の児童です。まず夏休みの直前にホームページを立ち上げ、夏休みも活用しながら読書を始め、将来像を描いていき、11月に授業で発表会を行うというスケジュールで進めました。発表形式は、2つあります。5年生は大森小学校のホームページ内に新たにページをつくり、読んだ本となりたい仕事を発表。6年生は体育館を会場に、屋台のような発表ブースをつくり、展示形式で行いました。寄贈された新しい本であったことは、子どもたちにとってインパクトが高かったようで、高学年児童の読書量はかなり増えたと聞いています。また渡り廊下に本をディスプレイするなどのアイデアも功を奏し、中学年、低学年の児童たちまでも、本を読みたいという声が高まったそうです。発表は皆、自分の言葉でしっかり行っていました。4カ月間という時間をかけ発表の準備をした経験も、子どもの成長を促したようです。多面的に大きな効果のある試みだったと考えています。
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